私をつぶつぶに出会わせてくれた子供たち / 伊藤(高橋)信子(2/3)
そんな私でしたが、不思議なことに雑穀との縁は
大学卒業後からずっと続いて来ました。
大学2年生の時、思いがけず農業に目覚めた私は、
カリフォルニア大学デービス校へ交換留学。
植物学や土壌学を一から学び、
空き時間には有機農園でボランティアをしていました。
国際協力の道を目指していたので、
大学卒業後は、スリランカで海外ボランティアとして経験を積む予定でした。
でも、日本の農業の現状を知るのも必要、と閃き
岩手県北部、久慈市山根町の端神(はしかみ)という
標高400メートル、人口100人ほどの小さな集落に住み込み
7ヶ月間、毎日汗だくになりながら、畑仕事や伝統食作りを手伝いました。
働くことの全てが食べることにつながっている暮らし
自然と向き合って生きていく知恵と技
土地の神々への信仰や風習
家族や集落の人々が支え合うコミュニティ
思いがけず北上高地の伝統的な山村の暮らしを丸ごと体験しました。
私が雑穀に初めて出会ったのも、端神集落でのことです。
昔ながらの雑穀の種まきや草取り、収穫作業
ヒエ飯や高キビ粉の団子、神様にお供えするアワ餅
暮らしや風景の中に当たり前のように雑穀がありました。
東京のサラリーマン家庭に生まれ育った私は、
生きていくための具体的な知恵や技を持たない自分の無力さに気づき
そして、北上高地の自然や文化の懐の深さに惹かれ
岩手にとどまることにしたのです。
その後、盛岡のNPOでも、雑穀に関わる活動をしていました。
雑穀の栽培現場から収穫後の流通過程を追跡し、認証する仕事です。
県内各地の雑穀畑や精白施設を回り、現場を見たり、話を聞いたり
当時は成り行きに身を任せ、全くそんな意識はありませんでしたが、
今思うと本当に貴重な体験をさせてもらいました。
つぶつぶグランマゆみこと出会ったのもこの頃です。
さらに、林業にも自分の世界を広げたいと岩手大学の大学院に社会人入学、
卒業後に就職したのが、岩手県岩泉町でした。
端神同様、雑穀が当たり前の食生活が日本で最も遅くまで
続いていた地域の一つです。
町役場で林業の仕事の傍ら、畑を借り、見よう見まねで雑穀や豆を育てたり、
町がゆみこを招いて開いたつぶつぶ料理講習会にスタッフとして参加しました。
そんな伏線を経て、私をつぶつぶに向かわせる転機が訪れます。
夫との結婚です。
小さいときからの頑張りと抱えていた自己矛盾の中で
彼に出会ったとき、私は壊れる寸前でした。
「頑張らなくていいんだよ」
「泣いていいんだよ」
「甘えていいんだよ」
繰り返し繰り返し彼にそう言われ
あり得ないと思っていた結婚を決心することができました。
それでも、子どもは、いつか生まれたらいいな
という程度にしか思っていませんでした。
当時、町役場で特命のプロジェクトを担当していたので
それがひと段落するまでは、と考えていました。
ところが、思いがけず妊娠。
晴天の霹靂と、最初はとても戸惑いました。
「子どもは仕事の足かせになる」
そう心のどこかで思っていたのです。
ようやく素直に喜べるようになった時
赤ちゃんがうまく育っていないことがわかり流産しました。
喜びの絶頂から、奈落の底へ。
ジェットコースターのような心身の変化
言葉では表現できない喪失感に
感情がコントロールできなくなり
自分でも信じられないほど涙を流しました。
そして、
「赤ちゃんが欲しい!」
初めて心からそう思いました。
それは執着に近い感情だったと思います。
でも、妊娠・出産に無関心だった状態からは
180度の変化でした。
流産をキッカケに、
物事を論理立てて考える左脳人間だった私に
右脳のスイッチが入ったのです。
今まで見えなかった感情があふれて来て
徹底してがむしゃらにやってきたことが、
実はストレスになって体を蝕んでいたことにも気づきました。
ちょうどそのころ、未来食セミナーを受けに
毎月のように東京まで通っていました。
これは自分の身体を見つめ直せというシグナルに違いない、
そう思って、つぶつぶを取り入れながら
いろいろな本を読んだり手当をしてみました。
自分の体に心を込めて触れたことすら無かった私は
いのちと食べものの関係や体の仕組みを学べば学ぶほど
「なぜこんな大事なことを今まで誰も教えてくれなかったんだろう!」
そう強く思ったのです。
それから10年、つぶつぶを実践してすっかり心も体も変わったおかげで
第4子愛美の誕生のときは、
夫と子どもたちが見守る中、布団の上に両膝をついて
自分の手で赤ちゃんを取り上げることができました。
頭が見え始めてから
あっという間の超安産でした。
「ああ、私たちには産む力も、
生まれる力も備わっているんだ!」
体の力、食の力を実感した瞬間です。
長男を帝王切開で生んで、
自然に生むのは無理と言われていた私にとって
言葉に表せない喜びの出来事でした。
私につぶつぶを
本格的に暮らしに取り入れるキッカケをくれたのは
子どもたちでした。
長男の出産後、仕事を休み
気持ちと時間に余裕が生まれ、
レシピ本にあるメニューを片っ端から作ってみました。
それまで料理をしてこなかった私でも、
「簡単で、美味しい!」
「料理が楽しい!」
夢中でつぶつぶを料理して食べていたら
ふと気持が前向きになっている自分に気づきました。
クヨクヨしたり将来への漠然とした不安も
イライラして情緒不安定になることも
無くなっていたのです。
「すごい!食と心の関係とはこういうことだったのか!」
と実感しました。
さらに、
「何の枠にもはまらずに
本来自分が持っている力を発揮する仕事や暮らしがしたい」
という気持ちがムクムクと湧いてきて
復帰するつもりだった仕事もスパッと辞めました。
そして、子供と一緒に「今ここ」を楽しむ活動を続けていたら、
いつしか4児の母になり
つぶつぶマザーとして暮らしも仕事も身軽にこなしている私がいました。
つぶつぶを学び実践してきたおかげで、私自身も夫も
子供たちも赤ちゃんも医者いらず、元気いっぱいです。
つぶつぶマザー
伊藤(高橋)信子
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詳しくは>>
http://tsubutsubunonchan.blog60.fc2.com/blog-entry-131.html
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ごはんで楽チン子育て☆
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http://tsubutsubunonchan.blog60.fc2.com/blog-entry-132.html